遺言Q&A

遺言とは何ですか?

「遺言」とは相続財産の具体的な分け方や方法を事前に文章にまとめることをいいます。

そしてこの文章を「遺言書」といいます。 事前に遺言書を作成しておけば相続開始後の家族間の争いを未然に防ぐことができます。

遺言書を残した方がよいケースとは、どのようなケースですか?

夫婦間に子供がいない場合です。

例えば、夫婦に子がいなく、夫が先に亡くなったとします。
この場合、民法により妻と夫の父、母(両親とも死亡している場合は兄弟姉妹)に相続が開始しますが、長年連れ添った妻に民法の法定相続分以上を引継がせたいと考えるなら「遺言書」が必要となります。
(但し、遺言をもってしても妻以外の相続人が夫の父、母である時は、遺留分の問題はあります。)

異母兄弟がいる場合です。

例えば、父に先妻と後妻があり、先妻との間にも後妻との間にも子供がいるとします。
この場合、先妻との子にも後妻との子にも平等に相続権がありますが、先妻の子と後妻の子との関係は希薄となっていることが一般的です。
この為、遺産分割協議がスムーズにいくとは考えにくく、そこで、父が「遺言書」を作成しておけば、親族による紛争を未然に防ぐことができます。

非嫡出子がいる場合です。 

例えば、父に実子と婚姻外の子(以下非嫡出子という)がいて、実子は父と父所有のマンションで住んでいると仮定します。
この場合、非摘出子の民法の法定相続分は実子の2分の1ですが、しかし、いざ相続が開始したとすると、マンションは、実子と非摘出子との共有となり、非嫡出子からマンションの権利を主張されかねません。
そこで、事前に「遺言書」を作成しておいて、父からマンションは実子のものとし、他の財産は非嫡出子のものとするなどと残しておけば、実子は安心してマンションに住み続けることができます。

個人事業主が長男に経営を引継がせたい場合です。

例えば、父が個人事業主として建設業を営んでいたとします。
この場合、事務所、作業場、トラック、重機等の事業設備は、通常父名義(若しくはリース)となっていることが多く、仮に相続が開始したとすると、事業に全く関与していない兄弟たちに権利を主張され、事業の財産を分割され、以後経営の継続は困難となってしまいます。
そこで、父が「遺言書」によって長男に経営を引継がせる旨を残しておけば、このような問題を未然に防ぐことができます。

遺言にはどのような種類がありますか?

遺言の方式には大きく分けて「普通方式」と「特別方式」があります。 

「普通方式」はさらに「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」からなり、また「特別方式」はさらに「一般隔絶地遺言」、「船舶隔絶地遺言」、「一般緊急時遺言」、「難船緊急時遺言」からなります。

自筆証書遺言とは何ですか?

全文自分自身で記載する遺言です。

自筆証書遺言は、全文自分自身で記載し、そして押印しなくてはなりません。パソコン、ワープロ、代筆は無効です。
また、日付と名前も自筆しなくてはなりません。
さらに、作成後は封筒に入れ封印し保管します。

公正証書遺言とは何ですか?

公正証書遺言は、お客様自身が公正役場に出向いて、公証人に作成してもらう遺言です。

作成する時は、印鑑証明書を提出し、自筆で署名した後、実印を押印します。
また、証人二名による署名、押印も必要です。

秘密証書遺言とは何ですか?

秘密証書遺言は公証人から遺言書の存在を認めてもらい秘密を保つ遺言です。

秘密証書遺言は、全文自分自身で記載した遺言書に署名、押印し、封筒に入れ、封印した後、公証役場に持参して、そして、公証役場において公証人と証人二名以上の前で、自分の遺言であることを述べ、公証人が証書を受取った日付及び遺言者の申述を封筒に記載し、公証人から遺言書の存在を認めてもらう遺言です。

遺言書の検認をしなかった場合はどうなりますか?

検認をしていない遺言書は、無効とされてしまうわけではありません。 

「検認をしていない遺言書だから、あまり信用できないな・・・」と、疑いをもたれてしまうだけです。
しかし、不動産登記では検認のない遺言書は、ほとんど無効の扱いをされてしまいます。